おくりびと・湯灌・納棺

納棺師の裏側。上司を湯灌した時の話。

納棺・湯灌

このブログは色々な内容を書いてますが、ぼくの前職柄、湯灌(ゆかん)や葬儀、仏事なども書かれています。

少しでも葬儀や納棺・湯灌の事を実体験も踏まえて知っていただければと思います。

葬儀の手伝いが無く、自分も含め各スタッフが別の部門(婚礼)の手伝いをしていた日のことです。

その中でも特に周りから嫌われている葬儀側の上司もきていました。仕事が出来る人なために、周りをバカにするような発言が多く、いつも人を見下してばかりの人でした。

その日もいつも通り周りに嫌がられるような発言が多いかと思いきや、人が変わったように優しい。周りと和気あいあいと話すことも無い人なので、ずいぶんと珍しい事もあるもんだ。と思っていた次の日。

警察から上司が亡くなったと連絡が来る

職場にいくとみんな慌てた様子で、その上司が亡くなったと言っている。

昨日まであんなに元気だったのに、耳を疑うくらいで誰もが驚きました。少し、変わった雰囲気ではあったけど、、

原因は家の火事に巻き込まれたとのこと。

警察の話から聞いた話によると、昨日の晩に帰宅後、同姓していた相手と口論になり、もみ合った際に上司がその相手に鋭利なもので刺され、家ごと焼いて心中を図ったのだという。

ただ、その相手は上司と「不倫」をしていたらしく、恐らくは離婚をしない上司と言い合いになったんだろうと察する。

消防車や救急車がかけつけた時には上司はすでに息絶えていたらしい。

ちなみに、同棲していた方は息はあるが重態のため、ICUにはいっており事情徴収が受けられない状態。

そうなると、上司が亡くなった原因を調べるために、医療大学で検死(けんし)を受けることになった。

数時間後、地元の警察署へ搬送され、ぼくは湯灌の上司とその場で、納棺をすることになったのだが、検死室にいくと、なんとも痛々しく変わり果てた上司の姿に、ぼくは絶句した。

なかなか自分の手が進まない。

よく、故人の顔を見るまでは亡くなったという実感がわかないことが多いと思いますが、今回のぼくの場合は本当に衝撃を受けました。

その時の僕はすでに納棺師として独り立ちをしており、かなりの故人を見てきてたので、普段は抵抗は無く湯灌・納棺を行うことが出来ていたのですが、そのときはさすがに違いました。

知っている人をただ湯灌するだけならまだしも、原因が原因ですし。まともに直視すらできない。もう動くことの無い上司が処置をされるためにその場にいるのだから。

ほとんどの作業を湯灌の上司に行っていただき、ぼくはサポート役になってはいたのですが、なんとも言えない気分です。刺し傷やその他の部分から体液などが出ないように処置を済ませ、死装束を着せていくのですが、

例え、嫌いだった人でも近い人に足袋をはかせたり、数珠をもたせたり、化粧をするなどの経験をするとは思いませんでした。

最後に

棺へ納めて、自社の会場に向かう。

葬儀は社葬となり、当社がすべて取り仕切り、従業員も含めてたくさんの方が参列をしにきました。身内の方(本妻)が残っていたので、葬儀終了後は身内に託しておわりました。

本妻の方とは別居されていたらしいので、焼かれた自宅にはいなかったらしいのですが、

本当になんとも言えない空気でした。なんせ、切り傷を見た限り、かなり相手が殺意を持っているような場所でしたので、きっかけはどうであれ、完全に犯罪の域だと思います。

当然、警察は医大の検死結果を当然聞いているのでしょうが、裏を取るにも、相手も意識不明なので、確認のしようが無い状態が更にぼくらの気持ちをもどかしくさせる。

人の恨みや嫉妬は、このような狂気と化す事がある。

このような無念な人生にならないように、あまり人から恨まれることの無いように振舞おうを思った。20歳の時に起きた元納棺師の出来事でした。